犬の散歩  
 

2003-10/19 (Sun)

 
 

私の日課は夜の犬の散歩だ。

家では今年10歳を迎えた柴犬「コロ」を飼っている。彼の散歩は朝と昼が妻担当。夜は私となっている。日課として子供連中にも対応して欲しいものだが、彼らにその気配は全く無い。こないだ得意先の取引先の取締役が飼われていた15歳になるやはり柴犬が天寿を全うされたとの事。そのご家庭でも子供連中はあまり面倒を見なかったそうだが、死なれてみると「もう少し構ってやれば良かった」とそこの娘さんが嘆く事頻りだそうだ。この事を子供にも言っておこう。少しは協力するようになるかもしれない。

アメリカ駐在時代もやはり犬の散歩は妻と私の日課であったが、住んで間もない頃は夜の散歩は怖かった。日本なら何て事はないが、住宅街と言っても鬱蒼とした森が多く、夜は人通りは全く無い見知らぬ土地。その漆黒の闇の中にはなんだか犯罪者や妖怪や宇宙人が潜んでいる気がして、慣れるまでは結構ビクビクしながら散歩してたわけである。でも、結局怖かったのは夜より昼。と言うのは昼の犬の散歩で、米国の巨大犬に襲われたのである。

うちの犬は今でこそ気性は大人しくなったが、若い頃は血気盛んで犬を見るとすぐ吼えてケンカをふっかけていた。でも向うの犬は躾が良く、決してコロの相手をしない連中ばかりであったのでが、ある時その挑発に乗った白人のおばあさんが連れた巨大なプードルがコロに襲い掛かって来たのである。

巨大なプードルなんているのか?と思われる方も多いかもしれないが、あれはどうみてもレトリバーほどの体躯を誇る巨大プードル。種類としてはおそらくは違うのであろうが、要するにプードルを巨大化したような黒い犬であったのだ。

おばあさんは必死に綱を引いて止めようとするが、おばあさんの力ではどうしようもなく、遂にその犬はうちのコロに噛み付いてきた。私は必死でコロを抱きかかえ、逃れようとするがうちの馬鹿犬もキバを剥いて応戦しようとするものだから、黙って抱かれておらずもう大変。結局、私はその巨大プードルの波状攻撃を、暴れるコロを抱きかかえ、何とか凌いでいたのであった。

かなりの身の危険を感じたがどうにか、来ていたのが皮ジャンだったことも有り、噛み付かれても大丈夫で、そのうち犬同士の方も落ち着いてきたので、何とかその場を収める事が出来た。そして「綱をつけてても引かれてしまうようなら、犬の散歩はあなたがしない方が良い」と文句の一つも言いたかったのだが、何せその時は駐在間もなく、斯様な英語がすぐ頭に浮かぶわけもなく、結局「OK、OK」と言いながら社交辞令的な笑みを浮かべながら退散するしかなかったのは実に情け無かった。

でも、この巨大プードルとの対決はこれで終わりではなかったのである。以下次号。