チャトラン復活  
 

2003-9/4 (Thu)

 
 

久々の朗報である。チャトランは健在であった。

まずチャトランが何者かを知って頂くために今年1月16日と7月26日のDiaryをご覧願いたい。そう、前に住んでいた町田の家で託ってた野良猫の事である。ここ2ヶ月姿が見えず、もう河岸を変えたか死んだかと思っていたのであるが、今日無事を確認できたので報告したい。

その前にまず私の前の家の大家の事をご説明しておこう。この大家と私はもう20年来の付き合いである。彼は町田に一軒家を20年ほど前に購入し、後は嫁さんが来るのを待つだけと言う状態で、既に20年経過してしまった悲しい男である。そして3年前、私のニューヨークからの帰国が決まった時、家族が東京に住む場所が無く、どうしようかと思案している時にハタと思い出したのが彼の事である。

「あの男ヤモメにあんな一軒家は必要ないはず。きっと持て余しているに違いない。私が借りて彼はどこぞの1LDKなどに引っ越した方が彼のためである」

と言う全く一方的な思い込みの後、ニューヨークから電話したら、彼は二つ返事でそれを了承したのである。本当にいい奴である。それで2年間町田に住んでいた時に、餌付けしてしまったのがこの「チャトラン」である。

今日の夜、町田の大家のところへ車で遊びに行った。家を出る時、いつも持って歩くチャトランのためのエサを忘れた事に気づいたが、もう彼はいないだろうとの思いが強く、特に引き返さずに向かったのである。

そして、家に近づいたので携帯で大家を呼び出し、家の前で待っていてくれと伝えた。程なく家の前に近づくと、ライトの中に茶色い猫の後姿が浮かんで消えた。

「??チャトラン?」

と思ったが、まさか違う猫だろうと半信半疑で車を止めると、その猫は大家の家の庭に座っている。暗かったが良く目を凝らすと、それは紛れも無くチャトラン!

生きてたー!一体今まで何処にいたんだ!心配したぞー!!!!!

感動してすぐに抱き上げようと近づくが、もう少しと言うところで逃げて捕まえられない。彼はとても賢く、人との距離を程よく保つ習性がある。全面的に人を信頼して無いのだが、野良猫としてはこれ基本ではないか。

やはり、いつまでたっても私の周りから付かず離れずの距離を保っているが、完全には近づいて来ない。しかしその素早い身のこなしは全く元気そう。毛並みも前よりも良い感じがする。

流石の猫嫌いの大家も私が余りに感激しているので情に絆されたか、即レストラン行く約束であったのに、二人の久々のアバンチュールを遠巻きにじっと見ている。しかしながらいつまで経っても捕まえられないし、おびき寄せるエサも無いので、取りあえず抱き締めるのは諦めて、レストランに行く事にした。無論、帰りにはエサは買ってくるし、おそらく彼は当分はここにいるだろうと踏んだのだ。

そして小一時間後、エサを携えて大家の家に戻ったところ、彼はもうどこにもいなかった。いくら呼んでももう姿は現さない。そう、結局束の間の再開だったのだ。まるで彼は私がずーっと心配しているのを知ってて「僕は元気だから心配するな」と言いに来た感じである。もうこれで会えなくても、いつでも僕は元気だよって。だからほんの少しだけ姿を現し、それを伝えに来たに違いない。

がっくりうな垂れる私を気の毒に思ったか、大家が慰めの言葉を掛けて来てくれた。そこで私は買ってきたエサを彼に渡し「後は頼む」と言ったのである。流石の猫嫌いの大家であったが、私の懇願するような態度に黙ってエサを受け取るしかなかったのである。

チャトランありがとう。いつまでも元気でいろよ。