食虫  
 

2003-4/13 (Sun)

 
 

その昔、腹が減って腹が減ってどうしようもなくなった時がある。

しかしこういう時こそぐっと我慢して、腕によりを掛けたものを食べるとさぞかし美味かろうと、デラックスなラーメンを作ろうと思い立った。とは言ってもインスタントラーメンにいつもよりたっぷりといろんな具を入れた代物であったがラーメンを二袋使い、時間を掛けて激しい空白と戦いながらじっくりと作ったのである。

そして、ようやく出来上がると丁重に丼に移した。腹はもう空腹の限界。眼前に置かれたデラックスラーメンは美味そうな湯気と匂いを放っている。結果に満足しながら、さて食べようと両手を合わせ一礼し、頂きま〜すと箸を付けようとしたその瞬間、上から何かがラーメンの中に落ちてきた。

ン?と思ってよく見るとラーメンの汁の中にバタバタともがくそれは茶褐色の蛾!そしてその蛾がジタバタすればするほどその鱗粉は瞬く間にラーメンの汁に広がっていった。

しばしその余りの出来事を呆然と眺めていた。はっと我に帰るとどうしようか迷ったが、その時の私の空腹は尋常では無く、且つこの手塩に掛けた料理を無駄にはしたく無かったのである。そして気を取り直すと神を恨みつつ、その蛾と鱗粉をスプーンで取り去り、結局そのラーメンを食べ干したのである。しかし、気分的にはとても不味かったのを覚えている。

そう言えばアメリカでサラダを買った時もレタスの間から「コンニチワー!」ってな感じでカメムシが出てきて、どっかに飛んで行ったな。そうそう、口の中にいきなり虫が飛んできて飲み込んだ事もあるなあ。あれはハエだったか、蚊だったか。

私の友達も吉野屋でゴキブリが入っていてクレームを付けたら、また同じ釜と鍋から「すみません」と言いながら店員が牛丼を出してきたらしいが、食わずに退席したそうだ。ラーメンにキャベツと一緒に青虫のブツ切りが入ってたって言ってた奴もいたな。

ま、蜂の子とかイナゴとかザザ虫とかも食料として長野の方では立派に存在して、食虫文化を築き上げているわけだから、慣れの問題か。山梨では梨園に大量発生するアブラゼミに業を煮やし、その幼虫を炒めて缶詰にして売ったらしいが、元々ほとんどヤケクソのような商品。当たるわけが無い。

今までも知らないうちに何回も虫とかを食った事があるのだろうなあ。知らなければ何ともないわけだけど、やっぱ虫は食い難い。