シマウマ  
 

2003-1/28 (Tue)

 
 

今乗っている車はダイハツのミラである。

Ginoと名のついたどっから見てもミニクーパーのパクリであるが、一応チューンナップカーである。帰国して思ったが日本の道は「軽」が一番である。今でこそ「軽」に甘んじているが、渡米前は何とベンツのステーションワゴンに乗っていたのである。どうだ、このギャップ。

で、そのベンツステーションワゴンでの悲しい思い出を思い出した。

いろんな画策を経て、ついに手にしたベンツで仙台からフェリーに乗り、苫小牧から北海道をほぼ一周した旅行の帰り、東北自動車道を下車し那須のサファリパークへ寄った。子供がまだ確か3歳と1歳くらいであったが、喜ぶと思い真っ直ぐ東京へ帰らず寄り道をしたのである。

それで車のまま公園に入ろうとすると係員が、「代車に乗ります?」と聞く。一応このベンツ、高級車だけに係員はそれなりの配慮をしたのであろうが、富士のサファリパークでは何の問題も無かったので、その申し出を断った。これがいけなかった。

富士では餌付けの儀式は無く、動物達が寄ってくる事も無かったが、那須では草食動物に餌をあげられるようになっていて、車が来るとワンさとラクダだのキリンだのシマウマだの鹿だのが寄ってくるのである。

キリンなんかはもうよだれダラダラで、車がだ液でベチョベチョ。そうかこれで係員は代車を勧めたのだなと思ってももう後の祭り。ここかしこをテカらせ、先に進んだのである。

そうしたところ、餌が最後のビスケット一つになってしまった。それを目ざとく見つけたシマウマ二頭がこちらに近寄り、その餌を取り合いになった。そしてそのうちの一頭が後ろ向きになったと思ったら、飼ったばかりの愛車の後部を思い切りバカーンと蹴り上げたのである。

きゃー!!ベンツがベンツが、と叫びながら車を降りその場所を見ると、ちょうど後輪の上の辺りが見事に鉤型に凹んでいる。それを見て思わずその場に昏倒。

気を取り直し、何とか東京まで帰ったがその足でヤナセのデイーラーまで修理を頼みに行ったのは言うまでも無い。そこで営業マンが「どうしたんですか、この傷?」と聞く。そこで私が「シマウマに蹴られたんです」と言うと、その営業マン、ニヤリと笑い「またまた、冗談がお好きなんだから。アフリカにでも行かれたんですか?確か北海道って言ってたじゃないですか」

じょーだんじゃねーよってば。ほんとだ!

そこで、事故の状況を真剣に伝えるとその営業マン悲しい顔をして「実は車両保険はこの場合利きません。動物に蹴られたなんて状況は想定してませんから」だと。

全くもー、あの時は踏んだり蹴ったりだった。