桃源郷へ  
 

2002-8/29 (Thu)

 
 

皆様。私は冗談では無く、既に行ってしまってるのかもしれません。

このHPに体験談を載せる時は「人を喜ばせてやろう」と言う気持ちが有り、本人も充分にその使命を感じて楽しみながら書いているわけだが、今日体験した事はマジに笑えない。ひょっとしたら私は既にどこかに異常を来たしているのかもしれないからだ。

本日3時からの会議に備え、飯田橋事業所で久々に真剣に資料を作成していた。概ね出来上がり、一旦印刷をすると字が事の他小さい。これでは老眼諸氏には読むのは辛かろうと思い、字を大きくしようとしたところ、何度やってもEXCELの動きが極端に遅くなり、思うように直せない。

私の場合、本当に良くあるのだが焦っているとPCがハングしたり、ファイルが壊れたりする。身の回りの電話とかカメラとかの電化製品も良く壊れる。この時も次の客先へ行く時間が迫っているのと、久々の力作を壊したくないと言う気持ちからかなり焦っていた。

何度やっても駄目なので、仕方なく客先の近くにある西台事業所で再度修正をしようとPCを閉じた。一応字は小さくとも資料は一部印刷してあるので最悪はこれを使おうと思った事もある。

飯田橋事業所を出て西台事業所へ行く途中、とある池袋の客先へ寄った。そして所用を済ませ、巣鴨で都営三田線に乗ろうとしたのである。この時、時間は2時半少し前。西台事業所に戻り、字を大きくし印刷をやり直すには少し厳しい時間ではあったが、会議には充分間に合う時間である。またこの会議、お客さんの前で久々に私が資料を取りまとめ、報告する会議である。無論、遅刻などは許されるはずも無い。

都営三田線巣鴨駅で電車が来るのを待っていると、西高島平方面の電車が来るとのアナウンス。これは私が乗るべき電車である。ほどなく電車が来たのでその電車に乗ると、シートに座り心落ち着かせるために「道元の読み方」なる仏教本を取り出し読み始めたが、その高尚な内容のせいか、即、気を失ってしまったようだ。

ほどなく気がつくと、目に飛び込んで来たのは駅の構内にある駅名の表示。そこには「日比谷」とあった。多少寝ぼけながら、えーっと私の降りる駅は西台と思い、あと幾つかなと思った瞬間、驚愕的な事実に気がつき反射的に飛び起きた。何と私は巣鴨から逆方向の電車に乗ってしまっていたのだった!

これはいかん、乗り換えねばと思い網棚のカバンを取り、ドアのところまで脱兎の如くダッシュしたが、すんでのところでドアが閉まってしまった。

既にご存知の読者も多いと思うが、私はやはり都営三田線でホームにある駅の扉と電車のドアの間に挟まると言うとても数奇な経験をしている。(Diary 6月13日「緊急速報!!三田線の恐怖」参照)その時の経験から閉まるドアにカバンを挟みここで何とか降りてしまおうとするのを思い止まったわけである。一応、学習はしているようだ。

仕方無く、次の内幸町まで行ったがその間、どうしていつも利用している巣鴨の駅で逆方向に乗ったのかが、自分でも信じられなくて自問自答していた。しかし巣鴨で逆方向に乗ってしまった時の記憶が無い。何も考えず条件反射的に乗ってしまったのか?はてまた得意のテレポーテーションか?(Diary 1月26日「テレポーテーション」参照)いずれにせよ、悩んでいる暇は無い。時既に2時45分。最悪私は遅刻でもこの手塩に掛けた資料は何としても届けねばならない。

そこで考えた手は常時持ち歩いているPCからPHS無線で会社のサーバーにつなげメールに添付して送る方法。早速内幸町で地上に出てまずは、弊社の会議出席者に電話をし、緊急事態に陥った旨(単なる自分のドジですが)を説明し、メールで資料を送る事を告げた。

しかし、PCを置いて作業するような適当な場所が無い。また今日は久々の35度。外はとても蒸し暑い。そこですぐ様とあるビルに入り、不安定な場所であったが何とかPCを立ち上げ、会社のサーバーに繋げた。でも焦ってるとPCとかに支障が出るのは前述の通り。でも焦るなと言い聞かせてもそれはちょっと無理。案の上PCはサーバーに繋がってもすぐ切れるか、サーバー自体が反応しない状況が繰り返されてしまう。

そこでメールを諦め、資料を一部は印刷してあるのでFAXで送ろうとしたが、前述の通り、字が小さくFAXではおそらく字が潰れて読めない。いろいろ考えたが資料を送る事はここで万策尽きる。仕方なく再び会議に出る人間に電話をし、兎に角私が来るまでお茶を濁して置いてくれと告げ電話を切った。

ここで、再び内幸町駅に戻ったが、こういう時に限って足が痛くなる。右足の裏が今朝から痛いが、これがますます痛みを増して来た。そして改札口にパスネットを入れ改札を通ろうとしたら残高不足の表示。思わず絶叫しそうになった。泣き面に蜂とは正にこの事である。

気を取り直し切符を買い、改札口を通るとちょうど電車が来た。よしラッキー!と思いその電車に飛び乗った。ドアが閉まり一息つきこのリカバリーを考え始めた。いろいろ考えていると幾つ目かの駅に着いた。その時目に飛び込んで来た駅名は「芝公園」。

この時、私は何かが終った気がして体から力が抜けた。そう私は再び逆方向の電車に乗っていたのだ。その時は驚愕と言うより、あまりの情けなさにかって味わった事が無いほどの虚無感に襲われた。きっと私は無意識に現実逃避をしようとしているのだ。でなければ正真正銘のアルツハイマーだ。そう私はきっと病気なのだ。

それから駅を降りるともう急ごうと言う気力も無く、トボトボと反対方向の駅に移ったがその時すべてを失った気持ちから、マジにふと電車に飛び込もうかと思いましたよ。しかしながらその後、肩の力が全く抜け、妙な清清しさに襲われた。言ってみれば桃源郷に到達した感じか。この時の気持ちも未だかって無い不思議な気持ちであった。とても素直になれたと言うか。明鏡止水とはこの事かと。

戻る車中では、車中の人々を眺め変な幸せな気分に襲われていた。

皆様。と言うわけで私は再び解脱したかもしれません。会議はどうなったかって?ご想像にお任せします。