米人雇用  
 

2002-8/12 (Mon)

 
 

米国で働いていてなるほどと思ったことは幾度もある。

例えば、米人従業員の質。無論、当方の言葉やコミニュケーション能力の問題もあるが、申し訳無いが、日本で一緒に働いてた人達に比べて落ちるのは否めない。しかし、駐在当初はやはり自分が日本で働いていた時の目線と同じなので、部下の行う仕事に大きな不満があったものだ。思うようにできないのはもちろん、できない事の言い訳の見苦しさ、延いては人を騙したり、ウソをついてまで自分を正当化しようとする態度。潔さや謙虚さを美徳とする日本人には驚きの連続であった。

そこで、人事に相談しに行くのであるが、その米人雇用担当人事取締役と話していて「なるほど」と思ったことがある。

先月書いたが、例のミック事件。(Diaryの7/1720「米式給与吊り上げ」参照)この時、義憤に燃えた私はその人事担当取締役に相談しに言ったわけ。そして一通り状況を説明し「こんな人を騙す奴は信用を置けないので即刻解雇したい」と言ったら、人事担当取締役も即刻この件に同意すると思ったら、意に反してこう言ったのである。

「Mr.Y。あなたの気持ちはよくわかる。しかし、ここはアメリカだ、日本では無い。このような事は日常茶番事だ。こんなことで解雇してたら仕事は回らない。彼の場合、確かにウソをついて騙して給料を上げようとしたかもしれないが、この辺りアメリカでは常套手段だ。それよりも彼は交渉力とかコミュニケーション能力とかは他に比べて高いじゃないか。彼はこの事件で反省して間違いなくあなたの力になる。また、M社は日本では著名かもしれないが、ここアメリカでは知名度は全く低い。そんなところに米人の良い人材は来るわけが無い。日本ではあなたは優秀な人材に囲まれていたかもしれない。しかし、ここではできない奴をどう使うかがあなたの課題だ。如何にできない奴の気持ちが理解できるかが最も重要なのだ。」

う〜む。目からウロコが百枚程落ちたぞ。そうか、そうだよな。確かに思ったのだが、アングロサクソン系(白人)の優秀な奴はほとんど米国の大企業に行く。うちに来る優秀な奴は日本人は来るが、米人の場合、来たとしたらマイナリティ(インド人、中国人等)だ。でも、大半は失礼かもしれないが、日本で働いていた面々に比べモラルも技量も落ちるのは否めない。でもここではその面々をどう使っていくかが課題なのだ。

他の日本から来る駐在員の特にお偉方は、日本と同様のサービスを期待し、あれこれ言い付けるが、その期待にはなかなか応えられない。従い、どうしても現地スタッフを含めた「滅私奉公」型日本人が頑張ってしまう傾向にある。私なども結局、駐在の5年間、駐在されてきた日本人諸氏のフォローで尽きたと言っても過言では無い。

そう言った点からは、もし米人同士で仕事をするならば、それはそれで共通の意識や認識があるので、それなりに仕事はうまくいくのかもしれない。日本人確かに余計な仕事が多いかもね。文章の体裁を気にしたり、面子だとかの結果よりも仕事のやり方を気にしたりしてね。

まあ、何事もまず形を重んじる日本人だから致し方無いが、どちらのやり方が良いとか悪いとかでは無いと思う。大事なのは、日本人式、米人式双方のやり方を理解する事がまずは肝要でしょう。

でも、やっぱり結局最後は人間性がものを言う。これは人種は全く関係ない。この人のために仕事ができるかとか、同じ釜の飯を食ったとかで、互いの信用を培う。やっぱりこれ当たり前だけど一番かな。極端に言えば仕事ができるできないも関係ない。仕事はその人に合った仕事をやってもらえれば良いわけだし、その仕事はどんなエリートよりも、その人の方が立派にこなしたりするわけだし、時に感服したりする。

エリートだけじゃ世の中回らない。奢っていちゃ駄目だよね。