米式給与吊り上げ(後編)  
 

2002-7/20 (Sat)

 
 

また明日などと言いながら、3日も空けてしまった。すみません。で、米式給与吊り上げ(後編)の始まり始まり。

ある日の朝、ミックは意気揚揚と偽善の笑みを浮かべながら出社してきた。そこで私は一言彼に言った。

私「おはよう!ところでおまえは人気あるんだなあ」
ミック「どうしてだ?」
私「実はこないだの晩、HPから電話があってね。おまえをヘッドハンティングしたいんだと。その前も他の会社からこんな電話があったし、人気者だなと」
すると、まんざらでも無い顔をしながら
ミック「いやあ、そうでもないよ」
と返してきた。そこで
私「でも、これは問題だと思うのだなあ。だってHPから見たらうちはお客だ。だからお客に向かってこんな電話してくるなんて、実に失礼だ。だから会社として正式にクレームをしようと思う」
すると、それまで深く椅子に腰掛けていたミックが突然顔色を変えて乗り出してきて
ミック「え、これはそんなに問題なのか?」
と言うから、多少オーバーアクション気味に怒りの声で
私「当たり前だ。こんな会社とは取引だって止める覚悟がある」
するとミック、可哀想なくらいにうろたえてあとは何だかわけの分からない事を言い始めた。
ミック「これは誰かが俺を貶めようとしているんだ。そうに違いない。だって、俺の名前を使うなんて。。。あ、おまえは俺を疑ってんだな?そうだろ?そうに違いない」云々。こっちが聞いてもいないことをどんどん喋り始めた。はい、やっぱ犯人は君ね。でもそう思っても下手に言うと米国は訴えられかねないので、丁重に人事に相談しに行こうかと言って人事に連れてった。

しっかし、人事も人事。誰かが自分を陥れようとしているんだと、半ば目に涙を浮かべながら人事の女性マネージャーに訴えるミック。そしたらミックがハンサムのせいではないだろうが、ちょっとルネッサンス風の彫刻のような出で立ちをしたユダヤ人の女性マネージャーは、許せないと言う感じで

「可哀想に。誰があなたを陥れようとしてるのかしら。。。」

ときた。おいおいおい、騙されるなよ。犯人はこいつだって。だからこないだ給料上げる羽目になったのもこいつの仕業だってのに。

でも、結局この件はそれでチョン。その後言外に私がわかってるぞと言う態度を取ったので、もう青菜に塩状態。そしてそれから半年くらい過ぎたろうか。またこいつは同じような事をしでかしたのだ。全く懲りない奴だぜ。

その半年の間で対策を練り、こういう不穏分子をいつ切ってもいいように、こないだの話に出たアンパンマンをミックの上司にすえ、いつ何時非常事態になっても良い体制を整えていた。しかし、そうとは知らないミック。今度は上司のアンパンマンに「また外から引き合いがある」との話を始めたそうな。

そんな話をされても痛くも痒くもないアンパンマン。話にほとんど取り合わなかったら、今度は私のところに来て同じ事を言ってきた。しかし私の態度も当然同じである。「じゃ、辞めたら?」

これに気分を害したか、ミック君。会議室を出て行ってしまった。そうしたらその数分後、いきなり全社のネットワークが停止した。

おっとり刀でコンピュータ室に駆け込むヘルプデスクの面々。原因は誰かがネットワークケーブルをハブから引っこ抜いたせい。そこから今度は犯人探しが始まった。まずコンピュータ室に入室する際はカードが必要なので、その履歴を調べたら該当の時間帯に入室したのは、紛れも無くミック君一人。そう、腹いせまぎれにやった模様である。

その事件を契機に当然の事ながらクビにさせて頂いたわけである。