解雇に対する復讐  
 

2002-7/3 (Wed)

 
 

米国で一時に大量に解雇する場合はどうするか?

この場合いちいち一人一人、人事に呼んで解雇通知はできない。良くあるケースは次の通りである。

前日にその解雇対象者に「明日は重要な連絡事項があるので、どこそこのビルの会議室に来てくれ」と通達する。次の日、新しいプロジェクトに抜擢されたのでは?とか思い込んだ面々は、喜び勇んでその会議室に出向くわけである。全員が集まったのを見計らうと、人事担当者がおもむろに「それでは通告します。今日付けで皆さんを解雇します」とのたまう。一種の騙まし討ちのようなものだ。

西海岸のある事業会社に出向していたN氏は、ある時30名程の従業員を解雇した。そうしたらその解雇した女性従業員3人につるまれてセクハラで訴えられた。職場で卑猥な視線を送られたとか、胸を触られたとか、無論すべて事実無根である。

当然、会社として受けて立ったが、N氏は何度も裁判所に呼ばれて写真やビデオを取られ、それはそれは人格を否定されるひどい仕打ちを受けたそうだ。そして挙句の果てに弁護士に「日系企業は今狙われている。裁判になったら陪審員制度なので、日系人が勝てるとは思えない。示談にしたらどうか」と言われて渋々それに従い、3人にそれぞれ10万ドル(約1200万円)支払ったそうだ。

そう、あのOJシンプソンの例を取るまでも無く、米国の場合特に事実かどうかはどうでも良いのだ。どんな形であれ金を取れれば良くそこには良心のかけらも無い。また、これを助長させるのが、米国の陪審員制度であろう。要するに裁判官が判決を決めるのでは無く、一般人から無作為に選ばれた陪審員が罪を決定するのであり、如何に陪審員達の心証に訴えるかがカギなのである。そう言った意味では米国には正義は無いかもしれない。

その事件以来、N氏は職場で女性と接する場合、一切目を合わさず要らぬ誤解を受けぬよう徹底した態度を取ったそうである。(でもこれってセクハラでは?)おまけに、女性恐怖症となり不能となってしまったそうである。

でも、そのセクハラ裁判中、上司から「おまえ、実はやったんじゃないのか?」と疑惑の目を向けられた事が一番辛かったそうだ。う〜む、でもその人の人となりを知っている私は、一見したところ精力絶倫の趣が有るがため、上司の言う事は一理あるような気もする。「不能」ってのも俄かには信じがたいなあ。

でも、大変な目に会ったのは事実だし、特に米国で働く場合この点特に気を付けた方が良い。三菱自動車は数年前ちょっと対応を間違えたために数百億円の損害賠償を払う羽目になったのも有名な話である。