気高き男  
 

2002-6/16 (Sun)

 
 

今日も頭髪関係はお休み。と言うのはあの都営三田線のホームと電車の間の空間は前人未到で無かったことが判明したからである。

あの事件(6月13日の日記参照)はやはり衝撃的であったようで、反響が結構すさまじい。その反響の中で早速「私も同じ経験が」と言う方があったのでご紹介しよう。そう、あの空間は前人未到で無く、既に同じような哀れな経験をした人がいたのである。但し、その人は同じ空間にはまっても取った行動は私とは対峙的なケースであった。

この男、実はアメリカ駐在時代に一緒に仕事をした仲間である。年は私より若干上だが、どこまでも気高く、プライド高く、弁も立ち、ポリシーが有り、立ち振る舞いもどこか大袈裟で、その鋭い凶器のような顔立ちと合わせ、勧進帳を演じる歌舞伎の弁慶のような感じの男であった。そう言えば動物占いも確かライオンであった。

現在奥さん、子供とは訳有って別居中だが、その状態はアメリカ在住中も続いており、噂であるが、その単身赴任中一人身の寂しさを紛らわすために、ニュージャージーの森に棲息するメス鹿を自宅に誘い込み、欲望を果たしたと言うツワモノである。

その彼からこの週末メールがあったのだが、その内容は要約すると次の通りであった。

「ボーっとしていて挟まれてしまったが、それに気付くとすぐ様、カバンを仕切りの向こう側に投げ捨て、仕切りを乗り越え、サイレンが鳴っているのを無視して、そのまま脱兎の如く走りエレベーターを駆け上がり逃げてしまった。貴兄のHPを読み、あのまま黙っていたら、電車の中にもう一度入る結果となっていた事がわかり、自分の賢明さに胸を撫で下ろしている所です。もう一度車内に戻るなんて私のプライドが許しません」

あの状況下、彼は仕切りを乗り越える事を選択したが、よーくわかる。彼の辞書には「後退」の文字は無い。例えば、ズボンをはかなくてもブリーフ一枚で堂々と胸を張って歩ける、そんな男である。(ちょっと例えが違うか)

でも、良かったね、下手すりゃもう年だから骨折や捻挫してたかもしれないのに。ま、そうなっても、きっと「大丈夫です」と大見得を切って、ビッコ引きながら消えるんだろうなあ。

男の美学を感じる男である。