プロペシア  
 

2002-6/8 (Sat)

 
 

プロペシアをご存知だろうか?

これは飲む育毛剤で、私が米国駐在時代愛用した薬である。入手に際し、医師の診断と処方箋が必要で、一粒直径5ミリ程度なのに1ドルもする。医師の診断が必要なのは稀に腫瘍を発生させる可能性が有り、必ず腫瘍マーカーと呼ばれる検査を行い、血液を採取しなければならない。

この薬、もともとは前立腺肥大を防止する薬で有り、昨日書いたリアップの薬効成分であるミノキシジル同様、やはり臨床実験中に被験者に髪が増える現象が発生したのが、この薬が世に出るきっかけとなったわけである。

私がこの薬の存在を知ったのは、やはりカッパ禿でザビエルと呼ばれていた駐在時代の上司、Mr.Aの情報からである。まず、駐在されてきたMr.Aに私が当時米国で爆発的な人気を誇っていたロゲインの存在をお教えすると、彼は不敵な含み笑いを浮かべ

「ふ、ふ、ふ、実は君。アメリカには実は市販されていない秘薬があるのだ。俺はこれでイチかバチかの大勝負に出るのだ。」

とのたまわれた。これがプロペシアであった。

既にその頃ロゲイン、要は日本で言えばリアップを頭に塗りたくって、背水の陣の状態であった私は、それでは期待された効果が出ていなかった事もあり、このプロペシアの話は当然の事ながら興味が沸く話であった。

しかし、お話を伺ったところ、医師の診断が必要なのと、飲み薬とわかり私はちょっと躊躇したわけである。塗り薬なら兎も角、飲み薬とあればそれ相応の覚悟が必要である。一応副作用も調べたが、前述の腫瘍の可能性に加え、稀に男性機能不能と喉の渇きがあると言った点は十分危ない薬であるような気がした。

しかしながら、ザビエルことMr.Aはやる気マンマン、やはり多少の危険は付きまとうが、青春が再び復活するかもしれない魅力に勝るものはない。気持ちはよ〜くわかる。そしてついにMr.Aはマンハッタンのとある医者に行きプロペシアを入手し、常用し始めたのである。

そこで私はそのザビエルの結果をまずは待つことにした。するとどうであろう、彼の禿を見続けて約半年、驚いた事に間違い無く彼のカッパ禿部分の面積が徐々に狭まって来たので有る。ご本人もその結果に確かな手ごたえを感じたようで、周りの女性連中を捕まえては

「僕、生えてきた?」

と質問して周り、何と返事して良いか半ば怯え、戸惑った女性が私のところに来て

「何てお応えすれば良いのでしょうか?確かに生えて来たのはわかるのですが。。。」

と聞くので

「間違い無く生えて来たのだから、おめでとうございますと言ったらいいよ」

と言っておいた。そう、周りに同意を求めるくらい、Mr.Aはその結果が嬉しかったようである。

しかしながら、じゃあMr.Aが禿で無くなったかと言うとそうでは無い。確かに面積が狭まったが黒々としたしっかりした毛が生えて来るのでは無く、産毛が濃くなった程度の毛が藻類のように、その面積を埋めるだけであった。従い、その密度や力強さはとても禿が直ったと言う代物では無かったのである。そう、やはり残念ながら彼は禿のままなのである。加えてこのプロペシアはリアップ同様、前頭部の禿には効かないのである。

でも、私にとってはMr.Aがまだ禿のままであっても、この結果は衝撃的であった。彼とは歳が私の方が5歳程若いため、私であればひょっとしたらまだ黒々とした毛が復活するのでは無いかと思うのは当然の事であった。

そこで、早速住んでいたニュージャージーはフォートリーと言う街の妖しげな中国人の医者に掛かり首尾よく入手することに成功した。Mr.Aがマンハッタンの医者ではで1ヶ月分程度しか入手できず、1ヶ月毎に診断を受けなければならないのに比べ、私は一回の診断で100粒入手(3ヶ月分)できたため、Mr.Aに羨ましがられたのを覚えている。

そして投与すること、約1年。確かに少し復活した(ような気がする)。ロゲインと併用していたため、どれが効いたのかわからないが、でも顕著な効果は得られなかったと言って良い。そう残念な事にやはり禿は禿のままなのである。爆発的な復活を期待した私であるが、その結果は投資した金額に比べ、納得の行く物では無かったわけである。

従い、結局その投与は日本に帰ってきた段階で止めてしまった。まだ飲み掛けが数十粒残っているが、リンクのSさん、飲んで見ます?一粒200円でどうですか?