増毛法  
 

2002-6/4 (Tue)

 
 

私の髪が薄くなり始めたのは30を超えたあたり。

そう、扶養家族の増加と反比例して髪を失ってきたと言える。この辺りはNOVELの「無題」を参照して頂きたい。さて、失ってきた時にそれはそれは丹念に研究したものである。父も父方母方、両方の祖父も禿であるからして、歳がいったらそうなるであろうことは覚悟はしていたが、ある時、野球大会の自分の写真を見て、前髪にボリューム感が無くなってきたのを契機に真剣に考え始めた。

ちなみに家の親父は、ある時三面鏡を買い、しげしげ自分の姿を確認していたら、後頭部が映り、かなりの衝撃を受けた事を生前言っていた。三面鏡など買うのでは無かったと。

私の場合も後頭部はそれほど気にして無かったのであるが、事有るごとに人から後頭部の危うさを指摘されるに付け、「そうか俺は前と後ろ双方からか」と嘆いたものである。全くどっちかにして欲しいものである。

そこで目に止まったのが、三段階増毛法とかマープとか言われる手法。要は5本くらい束になっている人口毛を、自毛に結わきつける方法である。これは確かに、若干薄毛が気になる方にはとても自然であるが、思わぬ落とし穴がある。

もともと自毛自体が弱ってるわけであるから、それに数本の人口毛を結わいたら、自ずとその重さに耐えかね、自毛が抜け落ちるのは自明の理である。且つ、その抜け毛は一本に数本が束になっている抜け毛であるので不自然極まるものである。その形状はなんだかケサランパサラン(古いか?)のようであり、明らかにそれを肩にでも付けていたらかなり異様である。また、クシやブラシも通りにくく、ブラッシングは思うようにできず、絡んで返って抜け毛を多くするのも、ちょっと無理がある。

それ以上に髪の毛が薄くなってくると、頭皮に透明な糸をめぐらし、その透明な糸にもともとついている髪の毛で増えたように見せかける方法が有り、これだと自毛に結わく方法で無いので不自然な抜け毛は無いが、髪の毛の成長とともにその透明な糸が皮膚から浮き上がり、そのラインが白く輝き、これまたとても変である。

いずれの方法もカツラに比べれば自然であるが、やはり上記のような不具合は存在するわけで、決して夢の増毛法と言うわけでは無いのである。