葬式  
 

2002-5/12 (Sun)

 
 

いきなりこんな題名にすると誰か亡くなったのかと思うかもしれないが、そうでは無い。

葬式にもいろんな種類がある。仏教、神式、キリスト教等々。でもやはり日本で一般的なのは仏教式であろう。

その仏教式での出来事。もう十年近く前であるが私の恩師が亡くなった。その葬式は仏教式で有り、ご存知の通り香をつまんで額に持ってきて、火の燻っているおわん(あれは何と言う名前だ?)にくべる方式である。

暫くそういう儀式に参加していなかった私であるが、順番が迫ると前の尋問客の様子を見て、その方法を確認していたのは勿論であった。

そして私の番となった。遺影と親族に一礼をして、目の前の香に手を伸ばした。しかし緊張していたせいか、無意識に私が手を伸ばした方はなんと火の付いているおわんの方!

その焦げて黒くなっているお香をつまんだ瞬間、当然のことながら激しく熱い。反射的に手を離すと葬式でなければ間違い無く『アチイイイイイイイイイイイイイイ!!!!』と叫んでいたところである。

しかし私は平然と何も無かったかのように、改めて香を摘んで火にくべると手を合わせ、冥福を祈ったのである。

いや〜、熱いの何の。指は当然のことながら火ぶくれになってしまったぞ。しかしよく声を出さなかったものだ。確認はしなかったがもし親族がその行為を見ていたら、きっと儀式中、笑いを押し殺さねばならず、その苦しさは拷問の極みであったろう。すみません。わざとじゃありませんので。

ところで、この話で思い出したのが、かの芸能人「オスマン・サンコン」。彼はアフリカ人だけに、この仏教式の方法など全く知らない。しかし知人の葬式でこれをやらねばならず、私と同様後ろから、他の人の行為をつぶさに観察していたそうだ。

そして、そのやり方に自信を持った彼は、自分の番になると香をつまみ、そのまま口に持っていって食ったそうだ。

確かに後ろから見ているとあれは食ってるように見えるな。その場でその行為を目撃した人々は耐えられたのかなあ。