亡命者連行事件  
 

2002-5/10 (Fri)

 
 

例の中国瀋陽での北朝鮮人の亡命希望者強制連行事件のことである。

世間では既に様々な論評が取り立たされているが、そこには書かれていない観点から少し物を申す。

日本総領事館員の対応は如何にも日本人らしい対応であるが、こう言った事件に対する自覚が足りない事は、責められて然るべき。でも一方あの中国の人民武装警察官の行動も、国際法の何たるかを理解していないのは歴然だよな。

このような事が起こった時、治外法権である領地内に簡単に立ち入ってしまう彼らも、日本人と同様、自覚が足りず教育もなって無いってことになる。それがわかっていたら立ち入ってまで制止することはしなかったはず。

では、何故に敢えてあそこまで強行にこの亡命希望者達を連れ去ったか?単に自覚が足りなかっただけか?もし、これが違法行為であるとの自覚があって、尚且つそれを行ったとしたら、やはり当局からの指示徹底があったのかなと。

「北朝鮮からの亡命事件が相次いでいる。ここは中国として北朝鮮に対する面子もある。体を張って止めろ!」

とかさ。そういう指示がされていたのにそれを許したら、彼らもひょっとしたら相応の罰則を受けるかもしれない。その強迫観念があの違法行為に走らせたとしたら、彼らにも同情の余地はある。単に(超法規的ではあるが)職務に忠実だっただけかも。そうであれば、ますます日本領事館員は何も考えていなかったわけであり、平和ボケの象徴であるような行動と言える。

人道的には、あの亡命希望者たちが北朝鮮に強制送還された時のことを考えれば、何とかしてやりたいが、それぞれの立場が有り当たり前ではあるが簡単では無い。また中国も過去の事例から決して謝らない国であるから、日本としては毅然とした態度を取りつつも、あの北朝鮮家族の今後を配慮し、中国の面子を潰さず、相応の逃げ場を作ることで、人道的な対応を取れるよう配慮してもらいたいものだ。自己主張するだけで物事がうまくいけば簡単だが、そうであってはまとまるものもまとまらなくなる。

ところで、北朝鮮の面子はいいのかって?それはこの際良いのじゃない?だって逃げたいと思わせる国なんだから仕方ないじゃない。逃げた相手を責めるより、逃げようと思わせた自分に問題があるとまずは思わなくては。恐怖で人を縛るのには限界があるし、これを強制すると最後は必ず破綻する。

でもさー、いきなり大上段に振りかぶってしまうが、この問題の基本は国家が存在するからだよな。かのジョンレノンが「Imagine」の中で「国家なんか無いとおもってごらん。貪欲な人間も飢えで苦しむ人間もいなくなり、みんな兄弟のようになる」

早く国家の面子で競い合うことは止めないとね。そうするためにはどうすれば良いか?この辺りの自覚を皆が持つことが肝要か。きっとあなたにだってできることがある。

ジョンレノンもオノヨーコも時代の先を行き過ぎてたんだなと。改めて実感。