鋭い妻達  
 

2002-5/1 (Wed)

 
 

昨日はニューヨーク時代、同じ釜の飯を食った連中が集まった。

当時私の元で働いていた部下のTが帰国したのでその凱旋帰国祝いが主旨である。考えてみればこのTの帰国を以って、日本に帰国してくる予定の部下は米国にはいなくなり、一つの時代が終わった感がある。

その席上、いろんな思い出話に花が咲いたわけであるが、こういった会合で必ず話題となるのが、私の心を鋭く見抜いた恐るべき超ド級サイコキック妻である、両N美嬢のことである。

両N美嬢とは今回帰国したTとやはり米国に長期出張していたNの妻である。その両N美嬢と私を囲んだ夕食会が、当時米国ニュージャージーのとあるレストランで催されたが、その時、この両N美嬢の見事なコンビネーション口撃により、私の心には生涯消える事の無いトラウマが残されたのである。

有閑マダムよろしくN美嬢が旦那Nの長期出張の監視をしに米国を訪れたのは、日頃不穏な行動が後を絶たない旦那Nの事を考えれば至極当然の事であった。しかしながらこのN美嬢のチェックは、某国の諜報機関さながら研ぎ澄まされたものであるらしく、地元では国分寺のモサド、CIA、KGBとかいろんな呼ばれ方をされているらしい。

今回の渡米の目的も、体毛が著しく濃い旦那Nの胸毛に超小型発信機を取り付ける事がその狙いだった。ちなみに旦那Nの体毛の濃さは雪男真っ青で、常にズボンの裾から体毛を30センチ程はみ出させており、彼の近くを歩くと体毛を踏まれた彼が時折「痛い」と叫び声を上げるのを私は何度か目撃した。それくらい濃いのである。聞くところによるとあれはスネ毛では無く陰毛らしい。

また、常に妻の影に怯える旦那のNは、恐怖と緊張のあまり血圧が200を越し、そのためいつも手を震わせている。要するに既に若年中気の状態に陥っているのである。従い、そろそろ血管が破裂して桃源郷に導かれるのも真近いとの噂である。無論、有事の際の保険金もたんまりと掛けてあるのは、あの抜かりの無い奥様の事、間違いないところであろう。

一方、旦那TのN美嬢もまたなかなかの兵である。自分の事を「小マダム」と称するお茶な面を持ち、自由奔放を絵に描いたような方で好奇心の塊。その自由人がマンハッタンと言うオモチャを与えられたのであるから、正に水を得た魚の如く、ニューヨーク生活の醍醐味を満喫し、帰国間際にはバイアグラの売人として、日本人妻の間で名を馳せたそうである。

その旦那TのN美嬢、バイアグラを仕入れるために、米国での人間ドックの問診で医者に「バイアグラは何処で売ってます?」と質問したらしく、医者から「奥さん、そういうことを言うと旦那が不能だと思われますよ」と嗜められた武勇伝があるらしい。やはり半端では無い。プロである。

ちなみに、旦那の沽券に関わるので断っておくが、そのN美嬢もこの6月に晴れてお母さんとなる。従い、旦那は決して不能では無い。子供が生まれるのであれば、あの自由奔放な生活に遂に終止符が打たれると思っている方も多いと思うが、なんのなんの、そんなことでへこたれる方では無い。このN美嬢を普通の人と思ってはいけない。

当然、落ち着いたら子供を引き連れまた野に放たれるのは間違いない。そのジプシー親子ぶりが今から楽しみである。

で、この強烈な両N美嬢に囲まれた私は一体どんな仕打ちを受けたのか?。。。また明日。