奇跡の詩人  
 

2002-4/28 (Sun)

 
 

本日のNHKスペシャルで「奇跡の詩人」と言うドキュメンタリーをやっていた。番組の紹介をそのまま引用すると

「誕生直後、脳に障害を負い、全く意思を表すことができなくなった男の子に五歳の時、奇跡が訪れる。両親から漢字や数式などを記したカードを繰り返し見せられた男児は、いつしか字を覚え、文字盤を指すことで意思を表現するすべを会得していた。障害を抱えながら詩集などを発表し続ける十一歳の少年、日木流奈(ひき・るな)君を追ったドキュメンタリーだ。」

この少年のことは私も前から知っていて、いくつか本を読ませてもらったが、確かに感銘を受ける言葉が少なくなかった。

「世の中の事に悲しいことも辛いことも無い、あるのはそう思う心だけだ」
「みんなが幸せにと願い、またそうなることを信じて生きることが大事」
「競争も比較もせず、ただあるがままにその人を受け入れる」

人それぞれ生まれてきたからにはその人にしか出来ない事がある。それを型にはめて評価するなんておかしいよな。結局その人のことをあるがまま、批評も比較もせず受け入れることが肝要ではないかと、最近特に感じている。

番組中、お母さんの手を借りてはいるが、流奈君の指し示す文字盤の言葉があまりに早くお母さんの口から出てくるので、これは実はお母さんの言葉では無いかとも思ったが、良く考えたらそんな事はどうでも良いのだ。

要するにその言葉が誰からのものであろうと、自分が信じられれば良いのだよ。そう「信じるものは救われる」。そう言った意味では流奈君が偉いのでは無く(無論、偉いが)その「教え」自体が偉いのであると言った最澄の言葉が思い出される。

でも、本の締切りに間に合わせたことを評価しているような雰囲気が番組中に感じられたが、それって何か如何にも彼が商業主義に乗ってしまったかのようで、ちょっと残念だったなあ。

彼の言葉はもっと自然に、何の束縛も受けない形で聞ける形にする方が良いと思うし、それだけ深いものなのだから。