老体  
 

2002-3/25 (Mon)

 
 

気持ちはまだまだ若いと思ってるのだが、どうも体がついて行かなくなることが多くなった。

例えば、こないだ久々に鉄棒で逆上がりをやった。ちょっおっと頭の血管切れそうだったが、何とかできた。そして鉄棒を降りたらなんだか手が妙に痛い。そこで手を見たらこれが内出血。

そうかと思うと、ボーリングをたった二ゲームやっただけで、足が痛くなってまともに歩けない。とまあそんな具合だ。

いつから頭で思っているイメージに体がついてこなくなったかと言うと、あれはそう3,4年前の娘の運動会が最初だった気がする。当時、アメリカに住んでいたわけだが、娘は土曜日は日本人学校の補修校に通っていた。そこで運動会があり私は父兄参加種目であるパン食い競争に出場したのである。既に中年真っ只中と言っても、そこは元陸上部。短距離ならばそこそこの自信はまだあった。

ピストルが鳴り、勢いよくダッシュした私は、ほぼ最初にパンのところへ行き着いた。そしてパンをほどなく噛み千切り、再びゴールめがけてダッシュしたのである。その時点で約1メートル差の2位。これなら抜けると踏んだ私は、昔取った杵柄。更にピッチ走法の足の回転を速めたのである。そして首尾よくジリジリと差を詰め、ゴール直前ではほぼ並んだままであった。

その時、やはり元陸上部員。本能的に胸を出せば勝てると踏んだ私は、体の前傾を深めそのままゴールへとなだれ込んだのである。無論私のイメージはゴールに飛び込んだ後は、軽やかに前傾姿勢を修正し、勝利の余韻に浸ったままのウイニングランであった。しかし現実は過酷だ。その前傾姿勢になんと足が全くついていかず、見事胸の差で一着となったものの、ゴール後そのままもんどり打って地べたにスッ転んで一回転したのである。

その日は折りしも雨上がりの翌日で、地面は結構ぬかるんでおり、私のジーパンは泥だらけになってしまった。そしてその時こそ正に、自分のイメージに体がついていかなくなった最初の出来事であった気がする。

でも泥だらけになってちょっと格好悪くても一着は一着だ。日頃のていたらくな親父の汚名挽回になったろうと、競技後娘に褒めてもらおうと近づいていったら、娘の一言。

「あんなにまでして勝つことない」

いや〜ん、キビシー!