Another Mr. O  
 

2002-2/8 (Fri)

 
 

M社に入社したての頃、随分社会人としてはハイカラな人がいた。社会人というより、ハマ辺りで女をナンパしてた方がピッタリと言った感じの、長髪で如何にも会社を舐めてるって感じのかっこ良い人であった。

これが今日お話をするO氏である。O氏と言っても昨日までのO氏と違うのでここは話をわかり易くする為、大川氏と言う仮名を使わせて頂く。本名とは完璧に違うので誰のことだかわかるまい。

その大川氏、その後ニューヨーク駐在となったが、行く前からこの通りの日本人離れした方であったので、5年の駐在を経て帰って来たらもう外人そのもの。ハマ辺りでナンパするような人物風であったのから、妖しげな中南米の麻薬売人風と化して帰って来たのである。

米国では自己主張することが何よりも美徳。元々米人たる素養のあった大川氏。帰国の行動はそれはもう日本人の常識とはかけ離れたものであった。ヒゲは生やすは当たり前、ファッションもイタリア風に決め、兎に角、周りのネズミ色の親父サラリーマンとは一線を画していたのであった。それは出る杭は打たれる日本人社会であっても、出すぎた杭は打たれないを正に証明していたのであった。

大川氏の一番米人らしさが出るのはその座り方であった。足を組むのは当然。その組み方は、まず椅子に腰を落とし込み深〜く座り込む。そして今度は片足を大きく宙に上げるとその高く上げた足を直角にカクンと曲げると足を下ろし、もう一方の足に絡ませるのである。そして体はますますその深さを増し、手はひじ掛けにブランと下げる。その光景はリラックスと言う言葉はこの格好のためにあるのでは無いかと思われるほどであった。見方を変えると、完璧に会社を舐め切っていると言え無くも無い感じもした。

この大川氏。もっと凄いのはこのポーズをどんな偉い人の前でも崩さない事だ。帰国して課長となった大川氏、時の大部長O氏。。。そうかー、この方もO氏か。どうもM社にはO氏と謂う話題の人物が多かったようである。これもわかり易く大森井部長と言う仮名にしよう。その人柄はNOVEL PAGEの「林田物語」で偲ばれる。

話を戻すが、この大森井部長の前でも同じように座り、傍から見ているといったいどっちが偉いのか全くわからない感じであった。それで大川氏のご自宅に招かれた際、この旦那様の大部長の前での偉そうな座り方を、アクション付きで奥様に説明したところ、奥様は
「そう、うちの旦那。腰が悪いのよね」
う〜、そういう問題では無いと思うが。どうやらO氏の奥様連中と言うのはそれぞれ皆凄い方であるようだ。

そんな大川氏も過酷なプロジェクトの最中胃を壊され入院手術となったしまった。やはり大川氏も人の子であったかと言うのが実感であるが、その前向きさ、積極性、調整能力は私のその後の仕事の進め方にも大きな影響を与え、会社が変わった今でも事有るごとに気軽に相談に乗って頂ける良き上司として、私は本当に感謝しております。