N氏  
 

2002-2/3 (Sun)

 
 

さて今日はそのN氏のお話。

この方も半端では無い。例えば、神楽坂で酔っ払って大暴れし、足を骨折したのに気付かず、そのままM社の独身寮を来襲し、強引に新人のベットを奪い、新人を床に寝かせて本人は大イビキとか、明らかに自分の降りるべき駅を通り過ぎた辺鄙な駅で、やはり酔っ払って、コートを引きずり前のチャックを開け、半ばよだれを垂らしながら歩いている姿を目撃され、その目撃した方は、地獄を彷徨う亡者のようなその有り様に怖くて声が掛けられなかったとか、豪放なエピソードには事欠かない。そしてその豪快さは仕事振りにも発揮される。

やはりN氏とやらせて頂いたとある豪華客船プロジェクトがあったが、あるメーカーにこの豪華客船イベントで使うプリペイドカードマシンの製造を依頼するため、そのメーカーに乗り込み、会議を開いていた時の事である。

会議ではそのマシン作成にあまり乗る気でないメーカーの面々。のらりくらりと話を逸らす態度についにN氏は怒り心頭、理論も手順も全く飛び越える時に出るN氏のあの伝説の得意技「強引な上手投げ」が遂に炸裂した。

いきなり机をバン!と叩くと

「やる気あるのかああああ!!」

と一喝!

2メートルは有ろうかと言う雲を掴むばかりの大男である。そこにいるだけで怖いのに、机を割られ、怒鳴られてはもうメーカーの面々はビビッてしまい、泣きながら

「作ります。作ります」

と言って、当方の要求を飲ませてしまったのである。凄い人である。とても一部上場企業同士の良識ある会議とは思えない。

しかし、これで驚いてはいけない。実はこのメーカーその後、この試作品を作ってきたが、当方の状況が変わり不要となると

「あ、あれね。もう要らないから」

と一言で片付けてしまったのである。N氏曰く「ビジネスは厳しいものなんだ」う〜む、その論理の明快さに感心してしまったものである。私などはその後、通勤経路にそのメーカーがあるので、その時の関係者に会いはしないかとビビッていたのを思い出す。

このように書くとN氏はまるで人非人のように思えるが、決してそうでは無い。人望が有り、面倒見が良く、人の心の痛みがわかる方である。仕事にもいつも真剣で、特にトラブルになった時、この方が出てくると千切っては投げ千切っては投げと言う感じで、「強引な上手投げ」を連発させながらトラブルを解決して行ってしまうのである。私などは何度助けられたことであろう。

有難うございます。O氏ともども私はマジに心から尊敬しております。