結婚式の司会  
 

2002-1/15 (Tue)

 
 

結婚と来ればそれそろ式の話をしよう。

実は何を隠そう私は何度も結婚式の司会をやっている。今まで20数回はこなし、様々なカップルを世の中に送り出している。そんなわけで今日は結婚式司会にまつわるエピソードを話そう。

まずは「絶倫隊」のギタリスト、ジーザス石川の結婚式での話。

彼の本名は石川修一と言う。仲人はやはり「絶倫隊」のドラム、ガネーシャ田嶋のご両親であった。そのお父さん、仲人で緊張したか石川の名前を「しゅういち」でなく「おさむ」と言い間違えた。

一瞬のことだったのと、その後は「新郎は。。。」と言う表現で式が進んだので、一応は大過無く、新郎新婦のご紹介が終わった。そして次は新郎方の主賓の挨拶。その主賓、なんでも日本画を書く芸術家の方らしく、出で立ちは羽織袴の純日本式のおじいちゃん。司会の私がご紹介すると元気良くご祝辞を始められた。そしたらなんと「おさむ君は。。。おさむ君は。。。」の連呼連呼。本名の修一君はどこへやら。

流石にご来賓の方々がざわつき始めた。司会の私としても何とかしなければならないとは思いつつ、話を遮って訂正するわけにもいかない。ましてや、仲人が名前を間違え、おまけに主賓までとあっては、双方の面子を潰す可能性も有り、単に「違います」とは言えない状況。

「う〜、やばいなんとかしなくては」と額に汗を流しながら考えることしばし、起死回生の妙案が浮かんだ。

一通り「おさむ君」の連呼を終え、主賓の挨拶が終わり拍手が鳴り止んだ時、私はこう切り出した。

「有り難いお言葉有難うございます。尚、ここで念のためお一言断っておきますが、ただ今ご主賓が「おさむ君」と申されましたが,実はこれ新郎のニックネームでございまして,本名は「しゅういち」と申されます」

その瞬間、新郎方親戚席から上がる「おお!」と言う歓喜の声。そう、あのケースで仲人や主賓の面子を潰さず、しかも間違いを訂正すると言うこの究極の司会技術に思わず親族は声したのであった。

そして乾杯が終わり、食事が運ばれて来ると親族の一人が私に駆け寄り

「君!あのフォローは完璧だった。ありがとう!」

とあたかも小泉首相の「感動した!」では無いが,今にも泣き出しそうな顔で私の手を取り、労いの言葉を掛けてくれたのであった。いや、しかしよくまあ、あのリカバリーが頭に浮かんだものだと今でも我ながら感心している。

後日談だが、その主賓に石川が「どうして「しゅういち」と知ってて「おさむ」と連呼したのか?」と聞くと、この主賓「だってあそこで「しゅういち」と言うと仲人の顔を潰すと思って」
とのたまわれたそうだ。

いや、そのフォロー反って収拾がつかなくなると思うのだけど。。。