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こうなったら、今日も結婚の話題でH社だ!
やはりここまで来たらあの男の事を書かねばなるまい。偶然にも昨日今日とその男の事がちらつくメールが飛び交っている。これも因縁か。
その日立の林。。。おっといけねえ、H社のH氏だが彼は私と同い歳である。私がM社に入社した時からずーっと艱難辛苦を二人して味わってきた仲である。と同時に、公私共々良きライバルであったとも言えるであろう。しかしだ、今は彼と私の間には決定的な差が出来てしまった。
そう私は既婚だが、彼はまだ未婚だ。わははははははー!!
今は人生の勝利者と敗北者とのコントラストが顕著になってしまい、彼との事を筆にするのやはり人の良い私のこと、若干はばかれるのだが、この際心を鬼にしてちゃんと成仏できるよう良く彼の頭を踏んでおく事にする。
20代の頃は二人して「どちらが先に結婚するか」を競っていた。お互い当時はそれぞれ恋人がいて、どちらも自分の勝利を信じて疑っていなかった。従い、そのライバル心は遂に、最初に結婚した方が相手に10万円払うと言う賭けにまでエスカレートしてしまっていた。当時の10万は感覚的に今では倍の20万くらいの価値はあるのではないだろうか?まだ入社間もない二人にとっては、それは結構リスキーな賭けであったのである。
まず、私が先手を打った。付き合ってた彼女にプロポーズしたのである。しかし一旦はOKを出す彼女であるが、数日経つと気が変わるらしく、「やっぱ、まだ遊んでいた〜い」てな感じでキャンセルして来たのであった。(この辺りの心境はMUSIC PAGEの曲「僕の方が想ってる」で赤裸々に歌われてるので後で聴かれたし)
その情報を掴んだH氏は、スキップしながら私のところにやってきて、この世にこんな面白いことは無いという感じで 「振られたんですって?」、 と言い、早くも満面に勝利の笑みを浮かべたのであった。そして続けざまに 「僕は来週プロポーズしますから、10万円用意しといて下さいね!」 と言い放ったのであった。
その時、私の心境はもう賭けなどどうでも良かった。あれ程までに結婚を確信していたのに振られてしまったそのショックで、目の前で歓喜のモモンガダンスを踊るこの男のことなど全く眼に映らなかったのである。
しかし、もうほとんど賭けには負けたとわかっていても、このライバルに塩を贈ることも私は忘れていなかった。 「Hさん。女は気をつけた方がいいよ。あれほど間違いないって思ってたのに、最後は手のひらを返したように態度を変えた。だから最後まで油断したら駄目だよ」
しかし、勝利の予感に有頂天となっている男にこの言葉は何の意味も無かった。 「大丈夫ですよ!僕はYさんのように詰めは甘くないですから」 と言って、手を開いて両手を耳に当ててベロベロバーをしながら、廊下の方へと消えて行ってしまったのである。
次の週になった。もうH氏のプロポーズがどうなったかなんて事は全く私の頭の中に無かった。そしていつものようにオフィイスで仕事をしていると、誰かが後ろから私の肩を弱弱しく揉み始めた。誰かと思い振り返るとそこには悲しい目をしたH氏がいた。
「Yさん。人生っていろんな事がありますね」
そう言ってH氏は肩を揉むのを止め、肩を落として溜息をついたのであった。要するにH氏も振られたのであった。
その後、あっさりとリカバリーを決めた私は,その後泣かず飛ばすのH氏を尻目にトントン拍子に話を進め,結局、私の30歳の誕生日の五日前に結婚式を挙げることが出来た。そして、H氏からの10万円と同時に「30迄に結婚する」と言う賭けにも勝ち、大儲けを以って独身時代に終止符を打ったのであった。
式後、ご祝儀を整理していた母親がこの10万円の祝儀袋を見つけ私に 「あれまあ、どうしたのこれ?あなたがお世話した人か何かなの」 と言うものだから正直に 「賭けに勝ったんだよ」と言って事情を説明した所、母親は気色ばんで 「どうして死人に鞭を打つような事をするの!」と言った。う〜むその言葉。母親の方が死人に鞭を打ってるような気がするが。
流石に私も10万円は気が引けたので、約5万円相当分は新婚旅行で買ったビトンのバックとダンヒルのライターをお土産としてH氏にお返ししたが、ライターの方はものの数日で無くしたようである。
後日談だが、H氏は起死回生を目論み、その後外人と付き合ったようである。だが,彼女が国に帰るため成田に見送りに行った時、空港で別れ際「XXXXX!」と彼女に何かを言われたそうであるが、英語であったため良くわからなかったのだそうだ。しかし,その後彼女から何の連絡も無く、帰ってくる気配も無いため、H氏曰く「あれは別れの言葉だったらしい」との事である。
10万円の残りの5万円はH氏の結婚式で返そうと思っているが、今やH社生涯独身軍団の先陣を切るH氏にその気配は全く無く、このまま没収となりそうな気配である。
日立の林。。。違う違う、H社のH氏の春が遠からんこと祈念する今日この頃である。でもなあそろそろ人生の秋を迎える歳だからなあ。それにもう若白髪でなくて,本当の白髪だものなあ。
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