ネセラード  
 

2001-12/10 (Mon)

 
 

12月6日の「華丸」で私が気に入った料理とか店とかが消えてしまうと書いたが、昨日も新たに発生したので報告しよう。

小田急線成城学園前駅の北口に「アルプス」と言う洋菓子屋兼喫茶店がある。そこには「ネセラード」と言うスポンジケーキの上にクリームを乗せ、マロンの粒を散りばめたとても上品な甘さのケーキがあった。私はそれが好きでここまでわざわざ来ては良く買って帰ったものである。

昨日は久々に成城学園の前を通ったので、おお、そうかとばかり、「ネセラード」を買って帰ろうと、おそらくは10年ぶりくらいであったが、この店を尋ねた。

ここは何と言っても高級住宅街の成城学園だからして、高級そうな衣服を身にまとった紳士、淑女が多い。私はその時単なる革ジャンに髭面の汚い格好と、数日前から患っていた「通風」で足を引きずりながら訪れたので、誠にその店に不釣合いであったが、やはり「ネセラード」の魅力には勝てず、勇気を出して引きずった足をその店に踏み入れたのである。

ところがである。ケーキの並んでいるショーケースの中をあの懐かしい「ネセラード」を探していると、なんだか見当たらない。おかしいなやっぱりあれは人気商品なので売り切れたかと思っていると、うら若き女性女性店員が、朗らかな笑顔で「何になさいますか」と問い掛けて来た。

そこで「あのー、ネセラードは?」と言うと、怪訝な顔をされ「うちではそのような商品はありませんが」と言う。そこで私が「その昔あったんですが」と言うと「そのような名前も聞いたことがありません」との返事。

そこで、再び私が気に入った商品は無くなるって言うことを思い知らされたわけである。しっかし、若い店員さんだから致し方無いのかもしれないが、過去あったと言う事実すら跡形も無く消えてしまっているのに、少なからずショックを受けたのであった。

他にもおいしそうなケーキが並んでいたが「ネセラード」以外を食べようと言う気にならず、そのまま痛い足を引きずりながら店を後にしたのであった。全く寂しくなるよなあ。